あのあと、しばらくして冴子さんが帰ってきて、夕飯の支度を済ませるとあれこれと僕に伝えて帰っていった。
夕飯は、冷蔵庫の中に入ってるものをレンジで暖めて食べればいいらしい。ご飯は炊飯器の中に入っていて後はスイッチを入れればいいようになってると教えられた。藤木さんが帰ってきたらスイッチを押せばいいらしい。初めて触る炊飯器で、はたして僕でも炊けるかなと不安に思っていたら、ボタンを押すだけだからと笑われてしまった。
一人手持ち無沙汰になって、僕はふっと家の中を探検してみよう、と思い立った。
どうも陽気になっているらしい僕は、早速家の中を見て回ることにする。僕はまずリビングを見渡した。初めて来たときにも思ったことだけど、この家はとっても高級そうな感じがする。まず、何よりも広い。リビングなんか、僕のうちのリビングがふたつくらい入っちゃいそうな広さだ。L字型をした四人掛けの革張りのソファと、ガラスのテーブル。何インチか想像もできないような大きな液晶テレビ。その横にはおしゃれなオーディオと大きなスピーカーがある。
テレビの後ろもオーディオの後ろも、前面ガラス張りで、大きな窓がリビングの南と東をぶち抜いている。窓の外はバルコニーになっているらしい。1.5メートルくらいの幅のバルコニーで、その先には背の高い目隠しの壁がある。
次に北側に目を移す。リビングダイニングの北側は、東側にふすまのような扉があって、その西側にキッチンがある。リビングから出るためのドアはキッチンのさらに西側にある。僕は東のふすまのような扉をそろりと開けてみた。のような、というのは、西側の白い壁紙と同じ壁紙が張ってあるので、ふすまとはいえない気がしたからだ。でも、扉は横にスライドするふすまと同じつくりだ。
扉を開けると、中は8畳ほどの和室だった。奥にテレビがあって、真ん中には座卓と座椅子が置いてある。押入れもあった。
普段は使われていない部屋なのか、他には何もない。それでも綺麗に掃除は行き届いていた。
次に僕はその部屋を出てリビングも出た。リビングを出ると隣の部屋が寝室だ。僕はそこへはむかわずに玄関の方へ向かう。玄関に突き当たると、右手に廊下が折れる。その先はトイレと、もう一つ、まだ入ったことのないドアがある。僕はそろりとその扉を開けた。僕は思わず感嘆の声を上げていた。その扉の向こうは、パソコンルームとでも呼ぶべき部屋になっていたからだ。そういえば、藤木さんはパソコン関係の会社に勤めていたんだったな、と思い出す。東側に窓があるらしいが、その窓はブラインドで覆われていてこの部屋には陽が入らない。僕は電気のスイッチを探してつけた。
ドアを閉める。
左手に大きな本棚があった。僕は興味をそそられて本棚を覗き込む。天井まである背の高い本棚は、前面の棚が横にスライドして奥にしまってある本も楽に収納できるようになっているものだった。カラーボックスの本棚しか持ってなかった僕はちょっとものめずらしい気持ちになる。上の方は文庫本サイズの本がしまってあって、スライドする棚も三段になってる。忍者屋敷の仕掛けみたい、なんてことを思ってくすくすと笑ってしまった。
下の方は比較的大きな本がしまってあって、スライドの棚も右半分だけだ。いずれにしてもこの本棚にしまってあるものはコンピューターの専門書ばかりで、僕が見ても何のことだかさっぱり判らない。中には英語で書かれたようなものもあった。
部屋の真ん中には背の高いテーブルが置いてあったけど、椅子は見当たらない。テーブルの上にはなんだかよく判らない図の描かれた紙やら、英語と呼ぶには意味の判らない紙が乱雑に置かれていた。仕事の書類だろう。ブラインドの下がった窓の下にはパソコンとプリンタなどの周辺機器の置かれた棚がある。中には電源がついて静かなモーター音のする機械もあった。なんだろう。
僕はこの部屋の中はいじってはいけない気がしてそそくさと部屋を出た。
最後に残ったのは寝室だ。僕は来た廊下を引き返すと寝室に足を踏み入れた。そこには届けられたばかりの真新しいベッドが中央に堂々と置いてあった。セミダブルがおいてあったときよりも少し狭くなったけど、それでもこの部屋だけで僕の家のリビング位はある。隣の家があるからか、西側に窓はない。その代わりリビングと同じように南側は一面が窓だ。窓の向こう側はリビングから見えるのと同じ景色が見えた。ベッドの脇にはナイトテーブルがあって、足元には本棚、その向こうにはシンプルなつくりの机がある。夕べはその上にあったノートパソコンが今はない。抜け殻のようにコードが一本あるだけだ。
ふと見ると、僕の入ってきたドアの隣にもうひとつドアがある。
そういえば、夕べ藤木さんはここから僕の着替えやバスタオルを持ってきた。
僕はそのドアも開けてみた。
その先にあったのは4畳半ほどの広さのウォークインクローゼットだった。そういえば、この家にはどこにもタンスがない。全部ここに
はいっているんだろう。その中をあさるのも気が引けて、僕はウォークインクローゼットを出て扉を閉めた。
やっぱり、寝室で一番目を引くものはベッドだ。それもキングサイズの新品のベッドだったらなおさら目を引く。
一通り目を通して暇になった僕はベッドに腰を下ろした。新しいベッドと新しい布団。手触りも清潔で気持ちよくて、僕は倒れこむようにベッドに横になった。ふかふかしていて気持ちがいい。僕はそのふわふわの布団に誘われるようにして眠り込んでしまった……。
ふわふわと…僕の頭を誰かがなでてくれている。
誰だろう。とても優しい手が気持ちよくて、僕はねだる様に頭をすりつけた。くすくすと笑うような声がする。でも、それは今までのように僕に対する嘲笑の声ではない。本当に楽しそうな、いつくしむような、そんな気配だ。
「かわいいね……食べてしまいたいくらいだよ」
そんな声が聞こえる。僕はそれでもまだ夢心地のままだ。何かが、僕の唇に触れた。柔らかい感触だ。さわさわと僕の体を大きな手がなでているのを感じる。背中をゆっくりとさする手の動きが心地よくて、僕は夢を見ているような気持ちのまま体を預けている。
ぺろ、と、唇をなめられたような気がして、そのとき初めて僕はさっきキスをされていたんだな、とわかった。
もう一度ついばむようにキスをされると、今度は口の中に何か柔らかくて暖かいものが入ってきた。その何かは驚いて逃げた僕の舌を捕まえると、絡めとるように口腔内を動き回り、僕の舌を吸い取った。ざわり、と背筋に快感が伝わって、僕はぱっと目を開いた。
目の前には藤木さんのアップ。
何がなんだか判らないまま僕は硬直した。やがて背中をはっていた手がシャツのすそから中に進入して直接僕の素肌に触れた。背骨を確かめるようにすすす、と上へなで上げられると、くすぐったいと感じるのとは違うもぞもぞするような感覚に襲われて僕は知らないうちにきゅ、と彼のシャツをつかんでいた。
「……起きた?」
ようやく唇を離して、にっこりと微笑みながらそう聞かれて、僕は状況を把握することもできずに沸騰する頭の中でうなずいた。
「顔が、赤いね」
左手で僕の背中をなでながら、右手が僕のほほに触れる。指摘されると余計に恥ずかしくて僕はますます赤くなってしまう。彼の手が僕の背中を行ったり来たりするたびに、さわさわとゆるい快感が駆け巡るのだ。背中をなでられてるだけだと言うのにどうしてそんな気分になるのかわからず、僕は何も言うことができないままもぞもぞと体制を変える。彼の手が背中をなで回れないように仰向けで寝ると、藤木さんの手は僕の背中を離れていった。安堵して息をつくと、添うように僕の横に寝ていた藤木さんが僕の顔の脇に腕をついて覆いかぶさってきた。
「あ、あの……えと、か、帰ってきてたんですね、あ、僕、気づかなくて…」
「よく寝ていたからね」
しどろもどろに言いながら目をそらす。
「起してしまって悪かったね……。こっちも……」
そんなことを言いながら、彼は僕の体の中心で目覚め始めた欲望に手を這わせた。
「キスで、感じた?」
エロオヤジ! そう思ったけど声には出せない。僕は力なく首を振ったけれど、彼の手はゆるい快感を与え続けていてしゃべったら変な声が漏れそうだった。
「責任を取って、最後までしてあげるよ」
言うや否や、彼は僕のズボンを下着ごと剥ぎ取ってしまった。
「やっ……ぁ」
あわてて奪い返そうとしたけれど、両手を左手一本でつかまれ、頭の上でまとめて押さえつけられてはそれもかなわない。彼は奪い取った僕のズボンと下着をベッドの下に放り投げてしまった。
「君は大人しく寝ていればいいんだよ」
有無を言わせない力を込めてそういわれて、僕は抗えずに彼の顔を見た。
「いい顔だ……綺麗だよ」
うっとりするようなかすれた声音で言われて、僕はまた恥ずかしさに顔を赤らめる。彼はそんな僕の様子を見ながらスーツの上着を脱ぎ捨てネクタイを解く。仕事から帰ってきたばかりらしい彼はスーツのままだった。ネクタイを解く手が卑猥で、僕は見とれてしまった。藤木さんの手はきれいだ。細くて長い指に、切りそろえられた爪。その手がネクタイを解くと、そのまま捕らえたままの僕の両手を縛り上げた。
「な、何を……」
力を入れればほどけるかもしれない。そうは思ったけれど、なぜか抗えない。
「こうしたほうが、もっと綺麗だ」
そんなことを言いながら、彼は僕の手を縛り、それからシャツのボタンをひとつずつ外していく。エロイスティックな笑みを口元に刻んだ彼は淫靡で美しい。その辺の女性よりもよほど綺麗な顔をしてそんなことをする姿が信じられない。すべてのボタンを外して僕の前をはだけた藤木さんは満足そうに微笑む。
「縛られて、嬉しいの? さっきよりも元気になってる」
言葉で嬲られる羞恥に耐えられず、僕はぎゅっと目をつぶって顔をそらした。
藤木さんの手が、僕の胸に触れた。あるかなしかの胸の突起に触れて、執拗に撫で回す。
「ふっ……」
声を出さないようにと息を詰めていても、息継ぎをする合間に思わぬ声が漏れてしまう。その声も恥ずかしくて僕はいやいやをするように首を振った。
藤木さんはそんな僕をなだめるように再び唇を重ね、そして僕のあごや首筋にも丁寧にキスの雨を降らせた。そして僕が感じるところにはことさら丁寧に唇を這わせた。鎖骨の上を舌が這うと、気持ちよさに眉を寄せる。それを見逃さずに藤木さんはねっとりと舌を這わせる。一瞬、鎖骨の辺りにツキンとした痛みを感じた。
「んぁっ」
驚いて声が漏れてしまうと、藤木さんは僕を見てくすりと笑った。
「痕がついたよ……。私の証だ」
そんなことをいいながらそのキスマークがついたのだろうあたりを指ですっとなでる。
与えられるゆるい快楽に、もっと強い其れを知ってしまった僕の腰がもどかしげに揺れた。
「……どうしたの?」
わかってるくせに、彼は問う。
「……いってくれなきゃ、判らないよ」
言いながら、彼は僕の乳首をきゅ、とつまんだ。
「はぁ……っ」
切なくて、声が漏れてしまう。藤木さんは片方の手で僕の乳首をもてあそびながらあいたもう一方で太ももの付け根のきわどい部分をなでる。さっきから放置されっぱなしの欲望が張り詰めて痛いほどだ。自分でどうにかしようと、くくられた両手を伸ばした。
「いけない手だね」
けれど僕のその手は簡単に藤木さんに捕まり押し戻されてしまう。
「あっ……やぁ」
苦しくて目の端に涙が浮かんでくる。こんな自分は恥ずかしすぎて、そんなことしてはいけないと思いながら、僕は与えられる快感を貪欲に求めていた。
「ほら、苦しいんだろう? どうして欲しいか言ってごらん」
「さっ、触って……」
「どこを触って欲しいのかな」
そんな意地悪を言いながら、藤木さんは左手で僕の両手を拘束したまま執拗に僕の太ももの付け根や下腹部をなでる。
「お願い……い、意地悪、しないでぇ……」
とうとうこらえきれずに涙を流して懇願したけれど、彼は許してくれない。ふと、体を離して触れていた手もどけると、彼はまじまじと僕をなめるように見詰める。
「私が意地悪? そんなことはしていないと思うけど。恵君が言ってくれないから、私は判らないだけだよ」
うっすらと笑みを浮かべながらそう言いながら、僕を視姦する。見られていると思うと恥ずかしくて余計に涙がこぼれる。
「おや、恵君、どうしたの? そんなに泣いてしまうなんて。あぁ、可哀想に……ソコをそんなにして。たくさん恥ずかしい汁がこぼれてるよ」
「やだぁ……っ」
卑猥な言葉をそのセクシーな声で囁かれて、僕はますます正気を失う。
「“僕のエッチなおち○ち○をいっぱい触って達かせてください”って言えたら、意地悪しないであげるよ」
「そん、な……」
「言わないなら、ずっとこのままだよ」
どんなに懇願しても、もう、その言葉を言わない限り解放してもらえそうもない…。僕の頭はもう、彼に与えられる感覚を得るだけでいっぱいで、恥ずかしいとか言うことを考える余裕もなくなっていた。
「ぼ、くの……エッチなおち○ち…を……」
涙をこぼしながら、潤んだ瞳で藤木さんを見つめる。許してくれないだろうか。そんな期待は、応えられることはない。
「……いっぱい触って…」
「達かせてください、でしょう?」
「……達かせてっ……くださぃ」
やっとのことで言い切ると、待ち望んでいた刺激が与えられる。
「んぁあっ」
藤木さんの白くて長いきれいな指が、僕の欲望に絡みつき大きく上下する。痛いほどに張り詰めていたそれは、あっけないほど簡単に達してしまった。
「はぁああっ」
僕の放った白い飛沫が藤木さんの手を汚す。ぼうっとした頭で藤木さんのほうを見やると、彼は僕の汚れを下で舐めとっていた。
「なっ、なに!して!! き、汚いですっ」
「大丈夫、汚くなんかないよ。君の味だ」
そんなことを言いながらとうとうすべて綺麗にしてしまった彼は、そのまま当然のように萎えた僕自身にも舌を這わせた。
「やっ」
あわてて腰をひねって逃げようとしたけれど、藤木さんの手に腰をしっかりと抑えられて逃れられない。彼の手を剥ぎ取ろうにも両手を縛られたままではそれも思い通りに行かず、再び僕は彼の手に捕らえられる。柔らかくてぬるっとした感触が僕の達したばかりの欲望をよみがえらせる。
「あん……っ」
絶頂に達したばかりの敏感なそこを口に含まれて、僕のそこは簡単に張り詰める。先端の部分を舌でつつかれて快感に体をよじる。
「あっ、あっ、いやっ」
急激に追い立てられて僕はもう恥も外聞もなく泣き叫んだ。縛られた両手で彼の頭を抱きこむように掴む。羞恥心よりも強い快感に耐えるために硬く目を瞑る。
「ひゃっ」
不意に、冷たいドロッとした液体を僕自身に掛けられて驚いて腰が引ける。
何事かと思ってみれば、いつの間に出したのか、ローションらしきボトルを僕の上に塗りたくっていた。
「なに……?」
「すべりがいいと気持ちいいだろう? それに、ここは女とは違って濡れては来ないから、たっぷり濡らしておかないとね」
そんなことを言いながら、彼は僕の双丘の奥に息づく秘孔にローションと僕のでべとべとになった手を触れさせた。
「わっ、ど、どこを触ってるんですかっ」
そんなところに触れられるとは思わなかった僕はあわてて魔の手から逃れようと暴れたけれど、やっぱりそう簡単に逃げられるはずもない。僕の両足首をひょい、と掴むと持ち上げてそこをあらわにさせる。赤ん坊がおしめを変えてもらうときのような恥ずかしい格好に僕は顔を真っ赤にさせた。
「や、やめてください……」
聞こえるか聞こえないか、と言うほどか弱い声で言ったが、聞こえているのかいないのかしっかりと無視される。
「よく見えるね」
言葉でいじめられるうちにまた僕の欲望から半透明の液がにじみ出てくる。
彼は、僕の両足を押さえたままおしりに口付けた。
「あっ、ちょっ……!」
逃れようにも両手両足を封じられてろくに動くこともままならず、僕は腰をもぞもぞと揺らす。彼の卑猥な舌が僕の秘孔を突きながら押し広げ、唾液を中に流し込む。
「んっ、あぁ…っ」
彼は僕の足を自分の肩に担ぐと、空いた手で円を描くように僕の穴をなでながらローションを塗りこんで行く。
「……っ」
一瞬、小さな痛みが走って、僕の中に何かが入ってきた。それが彼の指だとわかったころには、彼の指は僕の中を暴れまわっていた。ゆっくりと奥まで差し込んでは、中身を掻き出すように指を曲げながら一気に引き出す。指が完全に外に出てしまうぎりぎりになると、再びゆっくりと中に差し込まれた。
「んっ、あぁ……ッ」
なんともいえない奇妙な排泄感に僕は眉根を寄せて耐えた。やがて彼の指がある一点に触れると、今までのどんな快感よりも激しい快感の波が僕の全身を駆け巡った。
「やぁぁっ」
ビクン、と背をしならせて反応を示した僕に、彼は官能的な笑みを浮かべた。そしてその一点を集中して苛めぬいた。
「あっ、あっ、やだっ、んんっ」
いやいやをするように首を振り、快感から逃れようと身をよじる。しかし広いベッドの上で行き場もなく僕は縛られた両手を挙げて頭の上のシーツを掴んで耐えるしかない。
穴をかき回す圧迫感が増えて、指が増えたのを感じたけれど、もうそれどころじゃぁない。触れられてもいない僕自身がどくどくと脈打って張り詰めている。
ぎゅっと瞑った目の端からぽろぽろと生理的な涙がこぼれる。
「も、いかせてぇ……っ」
淫らな声で無意識にそう泣き叫んでいた。
苦しくてたまらなくて頭の中が真っ白になりかけたとき、僕に快楽を与え続けていた指が引き抜かれた。驚いて彼の顔を見つめる。
「……そんな顔をしなくても、もっと気持ちよくさせてあげるよ」
僕は、よほど不安そうな顔をしていたらしい。彼は安心させるように微笑みかけると、僕に軽く口付けた。
物足りなくて、淫乱な僕の腰が揺れた。
くす、と彼が笑って、僕は恥ずかしさに消え入りたくなってしまう。
彼は体をいったん離すと、自分のズボンのボタンとファスナーを下ろしその中で窮屈そうに張り詰めていた欲望を取り出した。
「いいよね……?」
疑問の形をとってはいるけれど、すでにそれは了承を得るための言葉ではない。彼はさっきまで指で弄っていたそこに自分の猛りを押し付けた。
緊張に、僕は息を止めた。
彼の張り詰めた先端が狭い入り口を割って侵入してくる。
「いっ、たぁぁ……っ」
指とはあまりにも違う大きさで、僕は悲鳴を上げた。想像を絶する激痛が走って僕は全身に力を入れて彼を侵入させまいと拒む。
「こら、そんなに力を入れたら、はいらないだろう? さぁ、力を抜いて」
なだめるように彼は僕の萎えてしまった前に指を這わせた。ぎゅっと握りこまれて、僕は恐怖に力を抜く。全身に入っていた力が緩んだ瞬間、彼はぐいっと体を押しすすめた。
「あああぁぁぁぁぁっ」
一番太い部分が完全に中に納まりきる瞬間、僕の体がみしみしと音を立てたような気がした。ぎゅっと彼の頭を抱きこんで痛みが和らぐのを荒い息をついて待つ。
その間にも彼は僕自身をこすり上げて快感を与えようとする。
与えられる快感だけを追おうと、僕は必死でその快感だけに集中した。深く熱いため息が漏れるようになってくると、彼は再び腰を動かす。彼が動くたびに激痛と排泄感にさいなまされたけれど、それだけではない何かも感じた。指のときに感じたところと同じところを彼が行き来すると、痛みだけではない気持ちよさが僕の体を支配する。
その感覚を見つけてから、僕はそこだけに神経を集中させた。
「……ぁぁあっ」
淫らな声を上げて快感を追う。
「……藤木さんっ、も、だめぇっ」
「いいよ……イこう」
弱音を吐いた僕にあわせるように、彼はいっそう激しく動き回る。彼の苦しそうな荒い息遣いが耳元で聞こえて、僕はもう何も考えられないくらいに頭が真っ白になった。
「イクッ、あぁっ、いくぅぅ!!」
その瞬間、僕は白濁とした欲望を再びぶちまけた。
それから僕の後を追うように、藤木さんも僕の中にすべてを放っていた。
- 作品名
- Drops 懺悔の檻05
- 登録日時
- 2003/09/17(水) 22:51
- 分類
- Dorop::第一章 懺悔の檻